連絡帳


■ 5月27日

痴漢

『刑法第176条 (強制わいせつ) 十三歳以上の
男女に対し、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為
をした者は、六月以上七年以下の懲役に処する。十三
歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同
様とする』



痴漢は当然の事ながら犯罪です。細かく言えば上の刑
法第176条を筆頭に各自治体の条例などで罰せられます。
最高で懲役七年。また、その卑劣な行為から一回捕ま
れば会社は首になり家族はご近所様から後ろ指を指され
白い目で見られ石をぶつけられたりと、社会から弾き
出されてしまいます。


僕の周りの女性に話を聞くと大抵痴漢に遭った経験が
あるといいます。よく言われているようにその時は怖
くて声が出せないといいます。僕にはその気持ちが最
近まで理解することが出来ませんでした。


ある日いつもの様に朝早く電車に揺られバイト先にに
向かっていました。僕がバイトをしているのはカレン
ダーが青い日や赤い日。そんな日はサラリーマンや学
生さんもお休みなので電車は空いているのが普通ですが
その日僕が乗っていた電車は某ネズミーランドを通過
する電車でしたのでディズニーランドに向かう家族連れ
やカップル、現地の舞浜での待ち合わせに備えて色々
髪を整えたり鏡を覗き込んだりしている老若男女で溢
れかえっておりました。土日に舞浜を通過する電車に
乗ったことがある方は分かると思いますが普通に満員
に近い乗車率です。舞浜を越えてしまえばごっそり降
りるのでそこからは座れるのですが、それまではやた
らテンション上がって電車が揺れて周りの人に潰される
度にキャーキャー叫んでいるうざったいカップル共に
混じり、そいつらを横一列に並べて平手打ちしたくなる
衝動と闘わなければなりません。



その日も例外なく車内は本も読めないほど混んでいて
窓から景色をボーっと見ていましたが、間もなく股間に
違和感を感じました。後ろには土日はいつもゴルフだけど
今日ばかりは家族サービス!といった感じのおじさんが
居ました。どうやらそのおじさんの手が僕の尻側から股
の間に入っているらしい。最初は混んでるから仕方ない
位に思ってましたがしばらくすると手は上下運動を始め
僕は自分がとんでもない事に巻き込まれている事を知りました。



僕はその前の週に、僕の肩に肘を乗っけて本を読んでいた
サラリーマンに『次の駅で降りろ。』と伝え喧嘩を売る
程の男です。いや、漢です。



でもね、痴漢には言えないの。


流石に怖いとは思わなかったんですが、恥ずかしいのと
情けないのとで言い出せなかったんです。声を出せば周
りの人に注目されるのも嫌だし、それよりも何よりも



少しばかり我がリーサルウェポンが反応していたので。



もうただ、うつむいて辱めを受けているだけでした。
舞浜に着き電車の扉が開くとそのおじさんは降りて行きま
した。一気に空いた車内には数人の乗客とちょっとばかり
テントの張った僕が残され何事もなかったかのように電車
は動き出しました。



今思い返しても恥ずかしいですが僕はチワワに似ているら
しいのできっとおじさんは僕をチワワと感違いして触ってた
んだろうと思い込むようにしています。



書いている内に痴漢でもう一つ面白い事を思い出したので次の
更新で書きます。



《次回予告》
うなだれる男!投げ飛ばす駅員!その時男が叫んだ言葉とは!?
■ 5月26日

恐怖

人間を含め動物は様々な感情を持っていますがこれは、
一説によると少しでもその個体の生存確率を上げる為だ
そうです。この感情は高度に進化した生物ほど豊かであり
知能の低い動物ほど単純で原始的だといわれています。


感情が生存確率を上げるためのものだとすれば、知能の
低い昆虫などは地球上から一瞬で絶滅しそうなもんですが
実際はそんなことはありません。それは知能の低い動物ほど
空が飛べたり過酷な環境にも柔軟に適応できたり変わった
器官を持っているといった能力がその弱点を補っているのです。


我々人間はこうした能力ではなく豊かな感情で危機を回避して
います。【好奇心】等の感情は時として本来の目的とは違った
方向、つまり危険に人を向かわせます。


街で見かけた何気ないワンシーンに反応して【好奇心】が頭をもたげ
最終的には麻薬シンジケート同士の争いに巻き込まれたり、伝説
の隠された財宝を巡る争いに巻き込まれたりして命を落としたり
重症を負った人を僕は何十人も知っています。


まぁ、嘘ですが。


しかし、恐怖や緊張といった感情は人を守る方に働く正しい(?)感情です。
でも恐怖や緊張などの感情が強いと人は馬鹿にされたりいつ
までも前に進めなかったりします。そんな恐怖や緊張に弱い人間
を鍛え強くする行事が我が国Japanには古来から存在します。


肝試しです。


んなわけで多少強引ですが今日書きたい肝試しまでようやく
持ってくることが出来ました。文才が無いってホント大変。


僕は人的な恐怖にはめっきり弱いちょっとばかりシャイな少年で
お化け屋敷やホラー映画なんかは苦手で、一緒に行こうと
言われてもなんだかんだ理由をつけて断っているうちに周り
からいつしかチキンのレッテルを貼られてしまいました。なんとか
見返そうとしていた僕ですがやっぱり怖いもんは怖い。そこで
この肝試しに目を付けたのです。


僕はお化け屋敷なんかは駄目なんですが基本的にお化けやら
妖怪やら磯野貴理子の話やらは信じていないので俗に言う心霊
スポットなんかには平気で行くことができます。逆にホラーやら
お化け屋敷は平気でも本物は怖いという人はとても多い様な
気がします。


他人が怖がるものは平気だという所を見せつければ僕のチキンという
レッテルは解消され、あわよくば散々今まで僕の事を馬鹿にしてた
奴らを上から見下ろす事も可能です。完全なる僕の頭脳プレイです。


そんなわけで車二台に別れ男5人女4人で肝試しに出発しました。
去年の夏が終わろうかという季節です。


始めに行った某キャンプ場跡地はただの山の中という感じで、山登り
やキャンプのアウトドア大好き人間の僕はひたすら頭上を眺め
木々の間から見える星が綺麗だな。なんてちょっとばかりロマンティック
に溺れていましたが、他のメンバーは超ビビリまくり。川の水音
なんか聞こえてきた日にゃそんな大声出したらお化けもビックリ
して隠れちゃうだろって位の叫び声出してました。挙句の果てには
星を見てる僕に向かって『上見てて木の間に顔とか見えたら嫌
だから上見ないで!』なんて別にお前が見るわけじゃないんだから
いいじゃねぇかという事で僕が怒られる始末。
結局ここでは何にも起きず次の場所へ移動。


次は八王子城跡という所に行ったんですが、ここは心霊スポットとして
有名というだけあってやばかった。YABAKATTA!
グーグル辺りで検索かけてもらえば分かると思いますがすごい雰囲気なの。
もう見るからにお化けが出そうなの。ていうか確実にあの時僕たちの
人数数えたら一人か二人多くなってたと思う。
でもここでビビッてたら僕のチキンというレッテルを剥すという当初の
目的は叶えられない。だから震える足の感触を確かめながら一歩一歩
進んでいきました。


でも数十メートル進んだところで何人かギブアップ宣言。そりゃそうだ。
ただのスターウォッチングの穴場みたいな所でギャースカ騒いでた
奴らだもん。僕だって足の震えが地面に伝わってその振動がメキシコ
辺りに大地震を巻き起こす
んじゃないかってほどブルってる所なん
だからヒヨッ子の奴らがギブアップしないわけが無い。ところが悲しいかな
そこは僕や他の肝っ玉の座った一部の人の計略で懐中電灯は2つしか
持って来てないの。んふ。帰ろうにも帰れないから来るしかないの。んふ。


そんなこんなで肝試しは再開されたんですが、いつも僕を一番馬鹿にしてた
T君がうるせぇのなんのって。彼には幻覚が見えていたらしく『お堂の影
に誰かがいる!』とか『あそこのロープはきっと誰かが自殺したんだ!』
とかとてもファンキーな事を口走っていました。
そこは周りを栗の木に囲まれていて風に煽られた栗のイガが落ちてきては
乾いた落ち葉の上に

カサッ

カサッッ

て落ちていたんですがその音を聞いてT君は『こっちにお化けを始めと
したものが来る!』って騒いでいました。なんだよお化けを始めとした
ものって。


普段僕事をチキンだと馬鹿にしているT君を懲らしめてやろう。ついでに
同行している女子達に男らしい所を見せつけて帰りに一発やってやろう
位に思い、誰かの足音(栗の落ちる音)にビビッていたT君に向かって
『栗が落ち葉に落ちてるだけだよ。』と、とてもクールに言ってやりました。



大槻教授ばりにさっくりと心霊を否定してやりました。


その直後女の子の一人が恐怖の為に泣き出したので、二個ある懐中電灯
の一個をギブアップ組みに渡し残った一個の懐中電灯で先を進もうという事に
なったんですが、残留組は男4人と女の子一人でさぁはりきって行こうぜ!
とテンションを上げたところでその女の子が一言



『私、襲われないかしら。』と、とても怖そうに呟くと場は凍りつきました。
あの時僕を含めた野郎4人の頭に浮かんだ事は多分一緒でしょう。




その手があったか!!!!



いや、違う違う。確かにその娘はとても可愛く人気も会社内で1番か2番か
というレベルの高い娘だったんですが、僕らが恐怖と闘っているその時
彼女は僕らの方に怯えていたのです。僕らが死ぬほど怯えていた
八王子城には怖がらずに僕らに襲われるのではないだろうかという事を
怖がっていたのです。



その後はその可愛子ちゃんに気を使い早々と車に戻りチキンのレッテル
を剥すことには成功したものの妙な敗北感に包まれながらの帰宅となりました。



結局僕らが恐れるべきなのはあの場で自分が襲われることの方を心配
していたあの娘の方なのかもしれない。
■ 5月25日

ガン告知?

テレビドラマには様々なジャンルというかスタイルというか、
ある決まった形があります。刑事ドラマや、学園青春ドラマ、
最近では法律関係の弁護士や裁判官を主題にしたジャンルも
確立されつつあります。そんなドラマの中でもある程度視聴率
が高く、安定した人気があるのは病院を舞台としたドラマだそうです。
【ナースのお仕事】や、【白い巨塔】、【ブラックジャックによろしく】、
懐かしいところでは【柊又三郎】なんてドラマもありました。


こういった病院ドラマの中で必ずといっていいほど出てくるのは
『告知』。ガンや白血病等今の医療技術では簡単には完治が
難しい病にかかるとお医者さんが患者さんやその家族に真実
を告げるかどうか。不治の病やそれに近いような病気にかかってる
事を知らせてなんの意味があるのか?しかし、患者さんには
知る権利があるのではなかろうか?
そんな風に大抵は若い医師が医療倫理という名の下、悩み
時には病気にかかっている当の患者よりも苦しむというお話の
回があります。


僕はこのような大きな病気にかかったことは今までなく、両親
や親戚の中にも告知をするかどうかという大変な病気にかかった
人はいないので、テレビドラマでこんな話を見かける度にお医者さん
は大変だなぁなどと思っておりました。
また、ここ最近は医者になった動機が『お医者さんごっこをしたかっ
たから』
と言い出しかねないような破廉恥ドクターや、僕のような
素人でも疑問に思うような医療ミス等が相次ぎ世間を騒がして
いることもあり、医療倫理というものに関心を持ち図書館で本を
探し読んでみました。


その本で得たものは色々とありましたが、結局今のところ患者
さんの知る権利と死ぬという事がわかっておきながらそれを
本人に知らせる事。また人間の死への尊厳をいかにバランスよく
如何に構成させるかはまだいい方法を模索しているというような
事でした。


本当に難しい問題です。実際の医療現場で働く方たちも治療
という本題以外にも色々と考えることがあり大変なんだろうなぁと
思ってました。


それが今年の3月の話。4月に入り大学が始まると健康診断があります。
この健康診断には様々な事件が付き物です。


検尿の時にトイレで苦労してオシッコを捻り出すも、そのお小水が
たっぷり入った検尿カップをひっくり返して神に呪いの言葉を吐く
奴がいたり、めんどくさいからと自分で勝手に各項目にチェックを
入れてるのがバレて死ぬほど怒られた上に結局最初からやり直し
を喰らったりと、そんな事を見ている僕としては笑いが止まりません。


その健康診断に僕が通っている大学では視力検査や身長測定
に混じり内科検診があります。事件はこの内科検診で起きました。


これまで、この内科検診では聴診器をあてられ簡単な触診を
して2,3分で終わっていました。
今年もすぐに終わるだろうと思いコンビニにタバコでも買いに行く
かのように気軽に内科の3畳程の狭いブースに入り椅子に腰を
下ろしてシャツを捲り上げ診察を受けます。
健康体の僕は聴診器を軽々とクリアして、触診に進みます。
20代後半から30代前半のその医師は少々太り気味でポヨポヨ
とした指に顎の下を触られて少しくすぐったいのに我慢してると
唐突にその医者が



ガンかもね。


と一言吐きやがりました。

ん?あんだって?

その医者は僕の顎の下を触りながら『ここにコリコリした砂肝みたいなの
があるでしょ?ここは普通こんなにならないんだよね。風邪ひいたり
してれば硬くなることはあるんだけど、今発熱とかないでしょ?
ガンの初期かもしれないからガン検診受けた方がいいよ。』
と表情も崩さずさらっと言ってのけました。


おいおいおい。ちょっと待ってくださいよ。え?これってやっぱり
一種の告知ですよね?もっと悩み、苦しみ抜いた上でするんじゃ
ないの?俺はまだうら若き花の大学生だよ?密かにもしかしたら
花の大学生は『華の大学生』が本当かもしれない。漢字が花か華か
もわからないただの大学生だよ?そんな大学生に【かもしれない告知】
なんかしちゃっていいの?



ていうか砂肝ってなんだよ?



まったくもって意味分からん。


きょとんとして医者の顔を口開けた馬鹿面して見てると『君の
はね、いかりや長介がかかってたガンと一緒だよ。まぁまだガンか
どうか分からないけどね。』なんて涼しい顔で言いやがります。
亡くなって間もない長さんを例に出されて背筋が涼しいのはこっち
だっつうの。んもう。



まさか現実がこんなに味気ないものだとは思いもせず早い内に
病院で検査しようと思っていましたがあの衝撃から早1ヶ月半。
まだ行ってません。あの時もっとお医者さんが考えた上で
告知していてくれたら事を厳重に受け止めていたかも知れません。
あまり気にしていないのは案外さらっと言われたからかも。なんて
考えると結局あんまり肩肘張って言われなくて良かったなぁ。と、思う
piroliでした。



早く病院行こっと。
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